居心地がいいということ。
誤解を恐れずに言えば、結局のところ住人のセンスが良ければ、例えど んな家であろうと良く見えてしまうんです。
最近のインテリア雑誌で、やたらと目を引くリフォーム特集や、セルフ ビルドの実例を見て思った感想です。建築の外観デザインの良さとか、空 間構成に関係なく、インテリアの良し悪しは、住む人の人となりがちゃん と出てくるから面白いものです。
だから住人が、センス良く暮らしているのを見ると、それがその住人っ ぽさなんだなと納得してしまうのです。
「なんだか、居心地がよさそうだな」って。
でも、私とまったく同じ感想を持つ人ばかりとは限りません。だって、 居心地は人によって千差万別ですからね。高級リゾートホテルがいいと言 う人もいれば、場末のホテルの方が、気を使わなくて落ち着けると言う人 もいますから・・。
ソファーはポール・ケアホルム、壁には超薄型の大型液晶ディスプレイ。 ダイニングセットはジャン・プルーベ。食器は60年代のもので、ベット カバーも同じくレトロパターン。ディーン&デルーカのコーヒーセット。 冷蔵庫はエレクトロラックス。キャビネットの上には、Macのモニター とバングアンドオルフセン。照明はポール・ヘニングセンで、足元にはカ ルテルのシックなプラスチックのゴミ箱。洗面台はスタルクのデザイン。 ドアノブはレトロなハンコック。もちろんバックグラウンドミュージック はボンジュールレコードからのセレクト。部屋の植物はコーディネーター に厳選してもらったもの。それらがさり気なく置いてあるわびさびをつく した空間も、「最高!」と言う人もいれば、「最悪」と嘆く人もいるのです。
ファッションと似てますね。ブランド物で身を固める人もいれば、それ を毛嫌いする人もいますしね。。服に機能性を求める人は、動きやすかっ たり、保温性があったりするほうが着心地がいいと思うでしょうし、機能 性よりも、デザインや色合いを重要視する人は、多少の着にくさがあった としても、多少寒くても、それを着ていたほうが気分がいいはずです。つ まり「着心地がいい」という事です。
その服が客観的に見て似合っていると、この人は自分の事を理解してい るんだな。・・オシャレだなって・・。コーディネーターの助言なんて必 要ありません。
しかし、そんなにオシャレな人が町中に溢れている訳ではありませんし、 オシャレにまったく気を使わない人だっていっぱいいます。 一方で、オシャレに興味を持っていても、自分に似合う服を模索してい る人だって多いはずです。そんな人は、たくさん情報を収集して、自分の 好き嫌いを見つける「自分探し」をします。
家づくりも同じです。例え賃貸アパートに住もうとも、自分自身で居心 地のいい空間を作ってしまう人もいれば、情報収集して、自分の価値観に 合う居心地を求めて「自分探し」をする人もいます。
私たちの仕事は、クライアントの「居心地の良さ」をつくっていると言 っても過言ではありませんが、難しいのは、決して自分の価値観を一方的 に押し付けるのではなく、あくまで客観的な立ち位置で、クライアントの 意図を汲み取り、クライアントの口からこぼれるわずかなキーワードを頼 りに、考えをまとめたり、曖昧で漠然としたものを整理していきます。そ してようやく「居心地の良さ」にたどり着くのです。
だからZUIUNで建てた家は、基本的なコンセプトはベースにあった としても、完成する家はいろいろです。住む人にとって、毎日の日常を過 ごす「居心地のいい場所」が完成してる訳ですからね。
ZUIUNの内覧会は、そんな「居心地のいい場所」のお披露目会です。
by NOBU
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